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そんなときだった。二歳くらいだろうか。とても小さな女の子が一人で軽くスキップをするように歩く姿が目のあたりにした。つなぎのデニムと、赤いセーターを着ていておかっぱ頭。
目が大きくて、まるで作り物のようにふっくらした、頬。おかっぱのヘアスタイル。昔の子供のようで、可愛い。
梨花ちゃんも目の前に歩いているのに、スルー。うちのリーダーもスルー。
それだけじゃない。他の従業員も知らぬふりをする。冷たすぎやしないだろうか。
(え? え?)
あんな小さな子がひとりで? 親はどうしたのだろう。私は瞬きした。
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