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 私達だって着たくないけれど、どうにかこうにか、ファストファッションのヒートテックの下着を実は何枚か着て、その上に服を着ている。  風のない凍りついた夜の中、大きなため息をつきながら、ざらめのようにざらざらしている堅雪の上を歩く。雪はとっくに止んでいた。頭上を見ると綺麗に星が瞬いているので、明日は太陽に会えるのだろう。  何気なくスマホを見ると、時刻は二十一時十五分を示していた。時刻を確認したとき、一通のラインが入った。  大輔君からだった。 『忙しくてなかなか連絡出来ずにごめん。元気?』  彼らしい優しい気遣いのメッセージ。
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