5 夜

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 さっぱりした優樹は二階の部屋にあがろうと階段をのぼりかけ、ロビーにいる和奏を見かけた。どうやらライン中のようだ。あまり楽しくないのか難しい顔をしている。何秒か見ているとスマートフォンをバフっとソファーに叩くように置いた。 「どうかしたの?」 「ああ。優樹。別にね」  不機嫌そうだ。 「また彼氏と喧嘩?」 「まあね」 「もっと彼氏も大事にしてやれば。いつものあれでしょ」 「どっか行こう行こううるさいのよね。夏だからってさ」  和奏はペンションを優先にするため、男からよく不満を言われているようだ。 「和夫おじさんはもっと遊んでもいいよって言ってるじゃん。俺も手伝ってるしさ。彼氏とどっか旅行でも行けば」 「いいのよ。別に行きたいことなんかないし。優樹こそ彼女、怒んないの? うちでバイトばっかりして」 「家事手伝いって言ってある」  はあっと和奏はため息をついて 「お互いに人のことは言えないよね」  と頭の後ろで手を組んだ。  優樹は和奏のはす向かいのソファーに座り 「ねえ。ちょっと聞いてくれよ」  と無垢な瞳を見せた。 「ん? 何。いいよ。」 「この前さあ」  優樹は両親の寝室を覗いた話をする。和奏は苦々しい気持ちで聞いていた。
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