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6 進路
優樹は高校三年生になり進路を決める段階に来た。
この三年間ペンションで働きたいという気持ちは変わらなかったが優樹なりにもっと真剣に考えた末、ホテルの専門学校に行くことにした。
「この専門学校に行きたいんだけどダメかなあ」
優樹はパンフレットを両親に差し出す。
「本気なの?」
「うん。俺、こういうところで働きたいんだ」
ペンション『セレナーデ』に就職したいとは言ってなかった。優樹自身、専門学校を出てもすぐに『セレナーデ』で働かずに他所のホテルもしくは旅館で働いてみようと考えていたからだ。
「お母さんはいいと思うよ。お父さんはどう?」
「いいんじゃないかな。優樹はサービス業、合ってそうだしな」
「良かった。ここなら家から通えるしさ」
優樹はにっこりしてパンフレットを眺める。
緋紗はいよいよ息子が自立の道をたどるのかと思うと、感慨深いような寂しいような気がしていた。優樹をぼんやり見つめる緋紗の手を直樹がそっと握っていた。
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