死がふたりを結ぶまで

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(上様!どうかご無事で……っ!!) 宗近は馬を下りて林の中を走っていた。 藤定の隊の元へ向かう途中子供を抱えた我楽の兵と出会った。その兵の話によれば、敵兵と交戦中に隊と離れ一人林で身を潜めていたところ、藤定を見つけ何故か一緒にいた子供の保護を頼まれたのだと言う。宗近は二人に馬を渡すと、そこから林へと向かった。 ここら一帯の林の中には身を潜めるのに最適な場所がいくつかある。気をつけていなければ藤定を見逃すかもしれない。幸いにも近くに敵軍の気配はなく、宗近は声を上げて藤定を探した。 少しの音も聴き逃すまいと、宗近は辺りに気を配る。 「───長尾岨…?」 「っ上様!」 声がした方へ向かえば、そこには少し驚いたような顔をした藤定の姿があった。 「何故おぬしがここにおるのじゃ。」 「申し訳ありません…ですが、いてもたってもいられず…。」 「そうか……。──っ……!」 藤定の姿に安心したのも束の間、藤定は顔を歪めるとその場に倒れ込んだ。 「上様っっ!!」 宗近は急いで藤定の元へ駆け寄ると、倒れる藤定を抱き抱えた。 見れば、腹部が赤く滲んでいる。 「…っ、先程敵兵から子供を庇ったのじゃ。…あれは捨て子であろうな、……避ける時に少し掠った。」 油断したと呟く藤定を見て宗近は自分の予感が当たったことを恨んだ。
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