私はいつも手を合わせる

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目を開けるとそこには、いつも通り、宮殿の美しい景色が広がっていた。 紫色の美しい瞳は働かされている時と違って楽しそうな輝きを帯び、銀色の髪はバッサリしたショートカットから緩やかに波打つ長髪へと変わっている。 今日はいつにもましていじめが厳しかったため、ローダはいつもより嬉しくなって花園に飛び出した。 クルクルと回ると、綺麗なドレスのスカートが傘のように広がる。 「舞踏会の練習でございますか?」 「きゃっ。」 いきなり声をかけられて、ローダは驚いて転びかけた。 「おや、失礼しました。」 謝ってきたのは執事の一人だった。 「いいえ、いいの。それより、舞踏会って……。」 「お忘れですか、今宵大広間で舞踏会が行われる予定ですが。」 「そうだった!今から準備しないと……。」 そう言って駆け出したとたん、 「あっ。」 足元に咲いた花を見つけ、ローダは回るのをやめてかがみこんだ。 「どうなされました?」 「ここに、お花。」 「花ならば、たくさん咲いていますよ。このような小さな花に足をとめなくても。それにこれは栽培されているものではなく、自然に咲いているものかと思われます。」 「だからいいのよ。育てられてるんじゃなくて、育ってる花。小さいけれど、この広い花園の中で、頑張って生きてるの。だから、他の花より可愛いし輝いてるのよ。」 「なるほど、姫様はロマンチストですね。」 「もう、照れるじゃない。お世辞は言わなくていいから。」 真っ赤になって、ローダは城に向かう。 大広間に足を踏み入れると、中にいた人が一斉にこちらを向いた。 「姫様……。」 「ローダ様。」 「舞踏会はまだ始まりませんよ、ローダ王女様。」 「手伝いに来たの。あら、このお花とっても可愛いわね!用意したのはだあれ?」 「あの、はい、私です。」 「すごいじゃない。こんな素敵なお花を用意できるなんて……。」 「あ、ありがとうございます!」 「このテーブルクロスもおしゃれね。もしかして新品?」 「はい、今日の舞踏会に向けお作り致しました。」 「あなたが作ったの!?すごい!」 「いえ……。」 ローダはそれからも、歓声を上げながら準備されたすべてのものをほめて回った。 そんなローダを、周りは温かく見守っていた。 微笑ましい情景だ。 「きゃあ、もうこんな時間!こんな汚れたドレスじゃ、舞踏会に出られないわ。急いで着替えてこなくちゃ。」 パタパタと大広間をでたところで、辺りが真っ白になる。 「あ……残念……もう終わりね……。」 ゆっくりと目を閉じて再び開けると、そこはもとの屋根裏部屋だった。
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