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「おはようございます。」
ノックの後、ダニエラと入れ替わりで、クラウスと共に現れたのは、三十過ぎくらいの女性。美しいブラウンの巻き毛がとても華やかなのに、なぜか、どことなく冷たい陰を感じる。
「おはようございます。」
私が挨拶を返すと、クラウスから女性を紹介された。
「侍女のユリアです。
今日から、クリスティアーネ嬢の身の回りの
お世話を致します。」
「ユリアでございます。
よろしくお願い致します。」
頭を下げる女性に私も慌てて挨拶を返す。
「はじめまして。
クリスティアーネ・ディートリンデ・
フォン・ミュラーです。
よろしくお願いします。」
私が頭を下げると、クラウスが厳しい表情で言う。
「クリスティアーネ様。
只今より、この王宮内では、王女殿下、
または、フルーナ王女とお呼び致します。
立ち居振る舞いも、王女殿下に相応しい
お姿でお願い致します。」
「………はい。」
と返事はするものの、自信はない。
「それから、毎日これを被って生活して
いただきます。」
クラウスが抱えた箱から取り出したのは、王女殿下と同じダークブラウンの髪のウィッグ。
「王女殿下、こちらへ。」
ユリアに促されて、書斎の椅子に腰掛けると、丁寧に髪を梳かれて纏め上げられ、ウィッグを被せられる。
そのままメイクをされ、眉もダークブラウンで描かれ、まつげにもダークブラウンのマスカラを塗られた。
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