森へ

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翌日の午後、私は部屋からバイオリンを持ち出した。 美しい庭園を抜けて、そのまま昨日の森を目指す。 私は、森の中の広場にある切り株の上でバイオリンのケースを開き、準備をする。 肩当てを付け、緩めてある弓を張り、松脂を擦り付ける。 調弦をし、私は思うままに音を奏でる。 まずは先日から五線に書き留めている曲。 小鳥のさえずりに乗せて演奏する。 私ひとりなのに、なんだかピッコロやフルートと合奏している気分。 私は時間も忘れて、日が傾き始めるまでバイオリンを弾いていた。 日が落ちかけて、広場がすっかり日陰になっているのに気づいた私は、慌ててバイオリンを片付けて部屋に戻る。 ほっ よかった。 誰に見咎められることもなく部屋に戻ることができて、私はようやく肩の力を抜くことができた。 クラウスにでも見つかったら、もう出してもらえなくなるかもしれない。 ダンスを踊ってるクラウスは、本当に素敵なんだけど、どうして普段の彼はあんなに厳しいのかしら。 もっと笑えば、少しは親しみも湧くと思うのに。
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