宮廷へ再び

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宮廷へ再び

それから、3ヶ月が過ぎた。 あの舞踏会以降、私は宮廷楽師になるべく、今いる生徒さんたちを他の先生に紹介しようとしたのだけれど、誰一人として首を縦に振ってはくれず、ひとりの生徒も減らなかった。 代わりに、皆さま、「月謝を倍払う」とおっしゃってくださる。 さすがに「倍というのは…」と遠慮したけれど、「だったら、倍払うからレッスン時間を伸ばしてほしい」と懇願され、結局、レッスン時間を1.5倍にして、月謝が倍という状況に至っている。 このままいくと、宮廷楽師よりも収入は増えるかもしれない。 その日の夕方、私が将来について悩んでいると、騒々しく邸内に馬車が乗り付けられた。 「クリスさま、宮廷から急ぎのお使者さまが いらっしゃいました! いかが致しましょう!?」 ダニエラが一大事とばかりに駆け込んでくる。 宮廷から? また楽師が足りないのかしら? 「今、参ります。 広間へお通しして待っていただいて ちょうだい。」 私は、ダニエラに指示をして、すぐに着替えのドレスを取り出す。 さっきまでバイオリンを弾いてた私は、ドレスに松脂の粉が飛び散ってもいいように、普段着のドレスを着ている。 宮廷からの使者をお迎え出来るような姿ではない。 私は急いで着替えて広間へと向かう。 「大変お待たせして申し訳ございません。 亡き男爵リヒャルト・フォン・ミュラーの娘 クリスティアーネでございます。」 私はドレスを軽く摘み上げて膝を屈めて挨拶をする。 見ると、そこにいたのは、以前舞踏会で私の名を尋ねた男性。 「(わたくし)、フロレンティーナ王女の侍従を 致しておりますクラウスと申します。 実はクリスティアーネ嬢に折り入って お願いがございます。 私と共に王宮にお越しくださいませ。」 え? 「私のような者にお願いってどのようなこと でしょう?」 私は尋ねるけれど… 「それはここでは… お越しいただければ、王宮にてお話 致します。」
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