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第0話
俺は足早に歩き、勢い良く扉を開ける。
「おはよう。」
彼女がそんな事を言いながら笑っているような気がした。まだ朝早く誰も居ない教室の中で。
そう、気がしただけなのだ。
俺のこの幻は。
美しい幻想は。
すぐ終わってしまう。
彼女はもうー。
第1話
ジリリリッ ジリリリリ
「う~ん」
俺はアラームを止めて二度寝をする。
所詮相手はアラームをセットしたスマホ。
例え「起きて❤️」と愛情いっぱいのラブコールを放ったとしても消してしまえば一発KOなのだ。
……けど、その誘惑に負けてしまったら1時間後に起きて遅刻するというのが定番のオチで………。
********************
「やっぱりだああああああ!」
だよね、やっぱりこうなるよね!こうなっちゃうよね!
現在の時刻は8時半。40分に始まるから……………。俺は考えながらバタバタと準備とする。
「…誰だよ、お前。」
玄関を出ると、そこには女子の制服を着た見知らぬ女子、いや、女装したバカが立っていた。
「いや~ん、拡くんおそおい❤️もお~遅刻しちゃうよ?ぷんぷん❤️」
………よし、無視しよう。
俺は何事も無かったようにいつもの通学路を走る。と、そこに尋常じゃないスピードで追いかけてくる友達の悠太。
「うわっ、てかお前なにやってんだよお!」
俺は悠太から逃げながら叫ぶ。
「いや~ん❤️拡くん逞しく走ってるわ~ん❤️」
「うえ、気持ちわりい!お前こそ逞しすぎるわ!もはや猪じゃねえか!」
必死に走っていると、ふと体が止まった。止めたのではない。止まったのだ。これ以上前に進めることができない。俺が不思議に思っていると、背後から声がした。
「捕まえた❤️」
その瞬間俺の背中に悪寒が走る。
「……お前、一回死んでこい!」
…なんやかんやあって無事(?)に学校に1限目の前には着くことができた。
きれいでデカい教室の前で、俺はうろたえていた。先生も困惑していた。しばらく経ってから、先生は口を開く。
「……藤崎、お前なんでそんな格好してんだよ。」
すると悠太は可愛い女の子がやる風に
「……てへ❤️」
と言った。あっ、もうこいつ終わったな。
「てへじゃない!お前ら、遅刻した上に藤崎は女装してきたから、今日鍵当番だかんな!」
…………………んなああああああああああああ!?
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