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そこは少し高台の場所。わざわざ飲み物も用意してあった。にょたチョコ男子のイベントじゃないのに浴衣でいるのは変な気分だ。まぁ納涼会のための浴衣だけど。
良くんも香多くんも浴衣なのに、げたんわくんは半袖短パン。ま、自慢の筋肉を見せるにはそれがいいよね。ほんもの女子の中では薫蘭風ちゃんだけ浴衣。伊織先生の身内だから着せられたんだろうね。
「始まったーー!!」
どん!と音がして束砂さんが声をあげる。
「スゴいなぁ。こんな近くで見たのはじめて!」
げたんわくんは嬉しそうだ。
でも……。
「瑠璃くん、微妙な顔してるね?」
薫蘭風ちゃんにそう声をかけられる。
「……うん。俺らは美味しい思いしてるけど、大と徹は働いてばっかだなぁって」
「やっぱり大と徹いないと寂しいの?」
良くんがそんなことを訊いてくる。
「んー。たまに休んでいいかなって思うだけ。なんだかんだ言って俺が一番奴らのこと分かるから」
どん!どん!どん!と次々と花火があがる。
「あ!」
更紗さんが声を上げた。
その指の先の花火は確かに『瑠璃』という文字を書いた花火だった。
次に『良』、その次は『香多』、もちろん『げたんわ』もある。
「スゴい……。大と徹、こんなことしてたの?」
香多くんの呟きに俺はちょっと嬉しくなる。
「やっぱりあいつらスゴいんだよ」
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