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「治療は済んだな?時間が無い。出発するぞ」岩倉の声に清志が反発した。 「新しいIDって?さっき、悲しい知らせがあるって言ったけど?……何の説明も無しに付いて行けると思う?」 「本当に時間が無いの。私を信じて欲しい」そう言って、瑞希が清志に頭を下げると、ソニアからのメッセージが清志の目の前に流れた。 『男のクセになにグダグダ言ってんだずぅ。黙ってついでげ!』  予想外のソニアの言葉に動揺した。  ソニアを見ると半透明になり、今にも消え入りそうだったので、更に動揺した。  岩倉と視線が合った。岩倉は何故か悲しげな表情で清志を見つめていた。 「……清志。お前の親父さんがさっき死んだ」岩倉が振り絞るように言った。 「───」 「治安部隊に殺された」瑞希が震える声で呟いた。 「こ……殺された!?殺されたって何で!?」 「清志、黙って付いでげって言ったべ。次に狙われるのはお前で、もう狙われたべ!二人はIDを外してけだんだがら、お前の味方だ!」ソニアがハッキリとした声で言った。
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