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 海岸沿いにあるショッピングモールの駐車場。フェンスの外は崖になっており、その下では荒々しいくうねる海が広がっていた。  駐車場に駐車されたワンボックスカーの車内に清志、瑞希、岩倉の姿があった。  運転席と助手席に岩倉と瑞希が座り、その後ろに清志と老人が座っていた。   「お前ら、そんなもん食って美味いのか?」ハンバーガーにかぶりつく三人に老人が呆れたように言った。  老人の名前は空良野海星(ソラノ カイセイ)、今年八十歳になる漁師だ。 「美味いよ。爺ちゃんも食う?」清志が袋からハンバーガーを取り出し海星に差し出すと、海星が首を横に降りながら清志を見つめた。  綺麗に刈り込まれた白髪の角刈りと白い歯が、真っ黒に日焼けした肌と対称的で、実年齢よりも遥かに若々しく見えるが、ランクDに属する人間は概して若々しい者が多い。  それは老人と言えど、生きる為には働かなくてはならないからであり、働けなくなった老人は福祉センターと言う名の収容所に送られてしまう。つまり、自由に行動出来るランクDの老人は、本人、もしくは配偶者が現役で働いており、尚且つ本人が健康である証だった。
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