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「全機揃った所で袋叩きにされるみたいだね」瑞希が言った。緊迫した状況にそぐわない、穏やかな口調だった。  瑞希は今まで、学校で清志に話し掛けたことは無い。だが、気になる存在として密かに清志を見ていた。勿論、それは清志が正継の息子だからと言う理由からでは無い。  人が良さそうな、のんびりとした男なのに、清志は人と群れる事がない。  いつも、静かに遠くを見つめている。  清志の、その視線の先に何が見えているのだろう?  何となく、無性に気になってしまうのだ。  清志が海星からタブレットを奪い、車を飛び出した瞬間に、その答えがわかったような気がした。  瑞希が清志を追ってこの場に居る事は、岩倉の指示があったからでは無い。気が付いたら清志を追って、全力で走っていたのだ。 「あっ!更に二機到着。そろそろだよ。大丈夫?やれそう?」 「大丈夫。反応を確かめたいから徐行させても良い?」動じた様子のない清志に、更なる好感を感じた。 「まかせるよ」信頼から出た瑞希の一言だった。
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