16/18
51人が本棚に入れています
本棚に追加
/243ページ
 清志がディスプレイを見ながら、車を駐車スペースから発車させた。スピードは時速三キロ。極めて遅い速度だがスムーズな走り出しだった。 「五機揃ったよ」 「うん。わかってる」そう返事を返したが、清志は既にディスプレイから目を離して、車とレッドアイの全体を直視していた。 「レッドアイって、武器の装備、どれくらいあるの?」 「小型ミサイルが一発に、三ミリの特殊弾丸が三百発。口径は小さいし、オートで撃ったら三百発なんて直ぐに無くなるけど、レッドアイが怖いのは追尾能力と機動力。小さいから建物の中まで入って来れるし、最高速度は三百キロ。いざとなったら体当たりして自爆」捲し立てるように言って途中で止めた。  レッドアイが五機、全機揃って動き出したからである。 「来るよ!」瑞希の言葉に清志が頷いた。  車は三キロのまま、こちらに向けて直進中だった。  プシューー。 プシューーー。  膨らんだ風船を離した時に聞こえるような空気音が聞こえたが、その音は二度の爆発音で直ぐに欠き消されてしまった。  地面に軽い振動が走った。  レッドアイから二発のミサイルが放たれたが、車を三キロで徐行させているにもかかわらず、ミサイルは車に命中しなかった。  清志が車を徐行させながら、ミサイルをかわしてしまったのだ。  
/243ページ

最初のコメントを投稿しよう!