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下層民に未来は無い。清志の言う事はもっともな事だった。
ランクSS、ランクS、ランクA。これら上級ランクの人間は人生を約束されたエリートで、ランクSSともなれば神に等しい存在。
ランクBであれば、それなりに人生を謳歌し、金銭や生活に困ることもない。
無駄に寿命の伸びた世界で、一定額の資産を待たない老人で形成されたランクDと、清志の所属するランクCに至っては、上級ランクの人間に、搾取される為に生かされている家畜のような存在と言えたが、自分達が家畜であることに気付いていない者も少なくない。
露骨なピラミッド社会だった。
「清志!お前、また、どうせって言ったな!」グリーンを基本としていたソニアのホログラムが赤く変色して、清志の腕にピリッと軽く電流が流れた。
「私はその言葉が大嫌いだって言ったべ。二度と言うなっ!」
「っ痛。ソニア、放電するなよ。AIのくせに暴力はダメだって!」顔を歪めながらも、人が良さそうな様子で清志が答えた。ソニアが清志に対して放電したと言う行為は、AIにあるまじき行為だった。
「清志。お前はバカではないし、性格も悪くない。彼女どころか、一人も友達がいないけど、個性的な顔で、まあまあイケてる」清志の顔の正面で、腕組みをしながらソニアが言ったが、方言が消えていた。
確かに清志には一人も友達がいない。学校で誰とも会話が無い日も珍しくは無いが、だからと言って清志が皆から嫌われている訳でも、底無しに根が暗いと言う訳でも無かった。
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