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( 瑞希!! ひょっとして俺に用事!? )  頭の中で呟きながら、緊張して歩行がぎこちなくなっている事に自分でも気が付いた。  藤原瑞希は清志のクラスメイトだが、清志とは何の接点も無いうえに、口すら利いたことの無い関係だ。  しかしながら瑞希は、清志が一目惚れしたと同時に、リスペクトしていると言っても過言でない少女だった。  若者の大半がカラフルに髪の毛を染めている中で、瑞希は今時、珍しい黒髪のショートボブ。学校でもトップレベルの美少女だ。  常に白檀の香りを微かに漂わせて、それが凛とした性格の瑞希に、古風なイメージを加えることに拍車を掛けていた。 「この色ボケ!ほっちじゃねえ!レッドアイが、お前ば見でんだ」語気を荒げてソニアが言った。  レッドアイと言うのは治安部隊の主力となっている小型無人アーマーだ。直径五十センチ程の球体型高速ドローンだが、犯罪者やテロリストを追うだけではなく、治安維持と言う名目で頻繁にパトロールを行っている。  レッドアイと呼ばれる名前の由来は、レッドアイの持つ赤い監視カメラが、球体の三割を占めるであろう大きさの為に、形状が巨大な眼球に見えるからだ。 「えっ!?俺を見てんの?」驚きながら清志が呟いた。  校門の三メートル程上空に、銀色のボディーの赤目玉が浮いており、確かに自分を見ているようだった。 「清志、レッドアイにロックオンされだぞ。お前、何がしだのが?」  ソニアが言い終えた直後、レッドアイがふわりと漂うように清志に向かって近づいて来た。
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