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 機敏な動きで鋭角に曲がるレッドアイの機動力は驚異的で、さすがに、その機銃を全て避けきる事は不可能だし、避けきるつもりも無かった。機銃で車が大破しなければそれで良い。三ミリの弾丸なら耐えきってみせる。  清志が車をバックさせたのはレッドアイに機銃を撃たせる為と、助走の為に距離が欲しかったからだ。 「どうするつもり?」瑞希の声が聞こえたが、今の清志に返事を返す余裕は無かった。  機銃を受けながらバックする車をスピンさせて、走行を前進に切り替えた。  元々がオンボロの車だが、今では崩壊寸前となった車をフェンスに目掛けて、真っ直ぐに走らす。  大破せずに、フェンスを破れば自分の勝ちだと確信していた。  フェンス迄は残り五メートルだが、速度は五十八キロ。キィーーーンと悲鳴のような車のモーター音と共に、モーターから黒い煙が上がっていた。  車がフェンスを突き破った瞬間「跳べ!」清志がタブレットの操作を止めて小さく叫んだ。  放物線を描きながら落下して行く車に、機銃を撃ち果たしたレッドアイが次々と突っ込んで行く。  集団で獲物を狩る、野生動物を思わせる光景だった。が、その光景は直ぐに爆発と共に海中へと消えた。
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