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次の瞬間、そんな俺の手から翔琉はチョコバナナを優しく奪い取り、逞しいその腕で俺の身体を包み込んだ。 同時に、翔琉の空いた大きな男らしい左手が俺の浴衣の襟合わせの間から素肌へとそっと侵入した。 突然のその侵入に、俺は活きの良い魚のように大きく身体を揺らしてしまう。 頭上からクスクスと笑う声がする。 「ごめん、まだ颯斗には早かったかな?」 俺を責めること無く、翔琉は穏やかな口調で尋ねる。 「……こちらこそ、ごめん、なさい」 中々大人の階段を登れない俺は、消え入りそうな声で謝罪の言葉を口にする。 「こうしても(、、、、、)怯えなくなったら、キスより先に一緒に進もうな」 そう言うと俺の素肌をもう一度だけやんわりと撫で、大きな手は浴衣から出て行った。 自身の経験不足に歯痒さを感じ、俺は視線を地面に落とす。 「気にするな。俺たちは、再会するまで1年半以上もかかっているんだ。こうして今、颯斗が逃げることなく傍にいてくれるだけで俺は嬉しいよ。 それに、却って颯斗の恋愛経験が豊富すぎたらそれはそれで俺の心臓が持たなくて、颯斗にナニするか分からないしね?」 最後の語尾は特に意味深に、念を押すように翔琉は声色を低くして告げた。
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