トウサク気味の

　俺のように、資料をとるため、ここに来た人は結構いると思う。話のネタが欲しい小説家や漫画家、インスピレーションを得たいアーティスト、絵日記を書かされる小学生などなど。その中でも、ここで得たものをそのまま作品にするのは写真家ぐらいだろうか。画家も、写生をするならほぼそのまま、ということになるが、自分の手で書きとっているので、もちろん胸を張って自分の作品と言い切れるだろう。先ほど述べた写真家だって、自らの手で、瞬間を切り取っているわけだから、作品の出来栄えはその人の腕にかかっている。
　つまり、俺ほど無責任で楽に「創作」活動を行おうとしている人は、おそらくいないだろうということだ。何しろ、俺の作品はここで得た素材をそのまま(・・・・・・・)生かしたものだからだ。