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「ねぇねぇ、裕君今日私同窓会だっていったでしょー?ちゃんと聞いてた?あー、みんなと会うの何年ぶりだろう?高校卒業して以来だからぁ~、あぁ~、もぉ10年かぁ。やっぱりさぁ、出るよねぇ・・・・結婚の話とか・・・・。恵梨佳なんてもぉ、2人も子供いるらしいからさぁ。あとそうだっ!男連中よ!まぁ流石にまだ20代だしぃ、剥げちゃってる奴はいないと思うけどさぁ。でも、やっぱり楽しみだよねぇ。それでね、私の事聞かれたら・・・なんだけど・・・・。
いいよね?一緒に住んでるって言っちゃっても。うん、まぁ事実だもんね。結婚はぁ~・・・・、そうだなぁ。まぁ私も焦ってるわけじゃないし、私はね、こうして裕君といられるだけで幸せだから、今のままでも十分だよ」
私はおずおずと彼の手に自らの指を絡ませた。ひんやりとした指先が気持ちいい。
「裕君、相変わらず体温低いよねぇ。まぁ私が高めだからいいか。2人して高かったら暑苦しいもんね。って、裕君?」
彼の顔に笑顔がないのは、これから私が行く同窓会への参加を心配しているのだろうか・・・・。
「裕君が反対するなら・・・・私、やめてもいいよ?」
彼の顔を覗き込むと、口元が少し笑ったように見えた。
「あっ、もしかしてからかってるでしょぉー。もぉ、仮にね同級生がどんなにイケメンになってても、安心して。だって、私裕君以上に好きになれる人なんていないもん」
自分で言って少し恥ずかしくなる。
「裕君に出会ってから、もぉ4年経つけど・・・・私ね、裕君と付き合い始めた頃よりももっと、もっと、裕君が好きよ。自分でも怖いくらいに。人ってこんなにも人を好きになれるんだなぁ~って、もしも裕君と出会えてなければ・・・・、気づくこともなかったんだよね。だからありがとう」
そう言って、私は静かに彼に口づけた。彼もそれを穏やかに受け止めてくれる。
「大好きよ。じゃぁ、行ってきます!」
真っすぐに私を見つめる彼の瞳が愛しくてたまらず、もう一度彼に抱きつき軽く触れるだけのキスをした。
「今度こそ・・・・本当に行ってくるね」
そう言って私は彼の部屋の戸を静かに閉めると、同窓会に向かった。
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