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春を憂い、秋を生きて僕は冬の匂いを感じた。
いつもと同じように食べてお母さんと一緒にお散歩をしている時にお兄ちゃんとお姉ちゃんが先に行って僕は一番後ろになった。
( もしかして、今なんじゃないかな?)
僕の心臓はバクバクして破裂しそうだ。
掟を破った者は、もし生きて帰ったとしても仲間達に受け入れてもらえることはない。
行ったら行ったきり、それっきりだ。
それでも僕は、なぜだかわからない自分の衝動を抑えることが出来なかったんだ。
僕は心の中で家族に、
( サヨナラ。)
を告げて、呼吸を整えてから右足を右に一歩踏み出した。
( 今、目の前にあるチャンスをつかんで離してはいけない。)
と、思いながら僕は衝動に突き動かされた。
掟で決して超えてはならぬと言われたところへ僕はそっと足を踏み入れた。
震えてるのは寒いのか初めての場所に足を踏み入れた恐怖なのかはわからない。
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