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オレが、オレの人ごみの中で監禁?
「オレに似た男」は、それが耳に入らないのか。
そのままドカッとオレの右隣に腰を下ろした。
ぷしゅー
ドアが締まった。
「あの、すんません。あなたは、どなた様……」
ぷしゅー
「んだよ、最初からそうしろよ、ボケ」
「ま、またかよ!」
二人目の「オレに似た男」が、入ってきて、オレの左隣に座った。
「ど、どうなってんだ!? オレは、悪い夢でも見ているのか?」
ところが、これで終わりではなかった。
「んだよ、最初からそうしろよ、ボケ」
「んだよ、最初からそうしろよ、ボケ」
「んだよ、最初からそうしろよ、ボケ」
次から次へと、オレに似た男、いや、オレそのものが入ってきて、たちまち車内は「オレ」で一杯になった。
「ちょ、どどど、どうなってんだ、これは!?」
ドアが、開いては締まり、締まっては開くを繰り返し、そのたびに「オレ」が入って来た。
「んだよ、最初からそうしろよ、ボケ」
「んだよ、最初からそうしろよ、ボケ」
「んだよ、最初からそうしろよ、ボケ」
「んだよ、最初からそうしろよ、ボケ」
その数は無限に、そしてどんどんどんどん増えていき、車内はギュウギュウ詰めになり、ほぼ身動きが取れないほどになった。
オレは、オレが作り上げた人ごみの中で、監禁状態となった。
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