子どもの頃の、あの光景

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子どもの頃の、あの光景

(くそ、立てねえし、息ができねえ)    気が付くと、オレの膝の上にオレが座っている。  そして、その上にもオレが座っている。  オレは、子供のころの、ある光景を思い出した。 「このさ、虫かごの中にどれだけザリガニ入ると思う?」 「さ、さあ」 「死ぬほど入れてみようぜ!」  ザリガニは、必死で抵抗し、オレに鋭い刃を突き立てた。 「てめーっ、ザリガニのくせに生意気だぞ!」  オレは、問答無用で、ザリガニを虫かごの中に押し込んだ。  バリバリ、ぐちゃっ  ザリガニは、ハサミが取れて、しっぽが取れながらも、動くことを辞めなった。 「ケケケ、まだ入れるぞ!」  オレは、笑いながら、ザリガニを破壊しながら押し込んだ。 「ギャッ」  ザリガニは、発することのない声と共に、口から何か体液を吐き出した。 「ゲ、きたねえ!」  液体は、オレの顔にかかった。 「くそっ、生意気だぞ!」  
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