386人が本棚に入れています
本棚に追加
倖を見ていると私ならと考えてしまう。
私なら立ち去ったら結果的に気まずくて戻らない。
私よりも素直な倖は戻ってきた。
その理由はなにか… 知りたい。
「 倖くん? 」
「 俺っ… 今すごく恥ずかしいっすよ。清羅さん、俺はあなたをフルつもりなんてない。
昨日より今日の方がもっと好きになった、本音だし、あんなふうに口説かれて、変に嬉しかったし、だから会いたいと思ったんだ、フルなんてないから、絶対に! 」
倖くんって、私よりピュアだね。
見た目と違うじゃない。
スラッと背が高くてイケメンで、男っぽく見えるのに繊細。
私が捕まえたのに、私が捕まった感じ。
だから、ちょっと意地悪してみたくなった。
「 ちょっと トイレ…」
そう言って席を立って トイレの後私は倖に隠れて会計を済ませた。
席に戻ると、倖は食べ終わっていて私は出ようと言う。
会計を知らぬ顔で素通りする私を引き止める倖を無視して店を出た。
「 清羅さん、会計まだ!」
「 したから。駐車場まで歩こう、送るし 」
「 いつの間に… 」
それは私だからよ?
ゆっくり歩きながら私は倖に言ってみた。
「 昨日より今日が好きなら… 明日あさっては?いつ、私を甘く溶かしてくれるの?」
大人な口説き文句のつもり、しかも意地悪で言っただけ。
倖だけに照れて終わると思った。
でも、答えが返ってきた。
「 俺… 明日もあさっても次も今より好きだと思う。だから、俺が溶かすまで待っててよ 」
こんなふうに返事がくるなんて 思いもしなかった。
胸の奥から じわじわと押してくるドキドキ感。
ずっと 一人だった心に、トキメキが浸透していく。
私、鼻血 出るかも…
最初のコメントを投稿しよう!