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「 清羅の携帯?」
「 うん、私の… でも… 」
あ… 誰? もしかしてこれ、倖くん?
登録しておいた倖のラインID、ドキドキする気持ちが遠くからノックしている。
「 お待たせしました、ジャモカコーヒーとレアチーズケーキです 」
運ばれた来たものの、亜実は私に構わずジャモカコーヒーの生クリームを取り食べてはコーヒーを飲む。
私は倖からの文面を読んで返事に困っていた。
『 清羅さん、倖です。これ届いてます? 明日の夕方時間ないですか?』
もちろん、夕方に時間はない。
なんといっても 明日はワゴンセールの限定日。
閉店は8時、業務事態が終わるのは最低でも30分はかかる。
それに時間通りに終わるとは限らない。
「 はぁ~…」
「 何、なんでため息?」
私はジャモカコーヒーの生クリームをつつきながら 倖からの返事をどう答えていいかと 亜実に話した。
「 やっぱりね、ほらね、わかってないね 」
「 何がよ… 」
わかってる、亜実の言いたいことは わかってる。
「 私たち仕事してんの、社員よ、バイトじゃないんだから夕方に上がるなんて無理! 学生くんには わかんないわね。
清羅、これが現実だよ? わかってるでしょ 」
はい、わかってますとも。
付き合うことになって早々、時間と仕事の壁を感じた。
私には当たり前で、倖には 今は理解できても そのうち私たちに溝が出来るかもしれない。
これは周りの友達たちの愚痴や別れの原因のひとつ。
「 清羅、はっきり言わないとダメよ?」
「 わかってる、言うから 」
私は倖に仕事だからと謝り 断った。
そして 聞かれた仕事先と営業時間を告げた。
「 は~…」
「 ちょっと、また? 清羅、あんたが選んだ彼氏なんだから しっかり躾なさいよね 」
も~ 亜実はっ…
躾るつもりなんか当然ない。
でも、うまく付き合っていけるのか不安になった。
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