年下の彼

12/14
前へ
/256ページ
次へ
「 すみません、私特に理由はないです。ショップ店員っていいなぁ とか単純なことで 」 へぇ、そうなんだ。 「 いんじゃない? それもひとつの理由でしょ 」 菜々、さすが。 「 で、彼氏いるの?」 菜々… 台無し。 「 いませんよ、全然! 縁がないんです、私可愛くないので… 」 縁がない… それは私も同じだった。 でも… あなた可愛いよ? 時間はあっという間に過ぎ、亜実も昼休憩が終われば セールも大詰めに入る。 5時を過ぎる頃に、私は ふと思い出した。 「 ありがとうございました! 」 あ、スカーフ! せっかく買ったのに忘れてた… 「 清羅、たいぶ売れたね!昨日話したカーデも売れたでしょ 」 「 ほんと、良かったよ~ あと残ってるの 何?」 「 アンサンブルかぁ ほら、紫とか黄色… 」 セール品とはいえ ちょっと買うの迷うかな… 時間は7時半になろうとしていた。 そろそろレジを精算準備にかかるため、伝票などをレジ下にある引き出し板を出し、記入できるところを埋めておく。 「 お疲れ、清羅。手伝うよ 」 「 ほんと、じゃ小銭をこれに合わせて… 1本分にしてくれる?」 レジの作業を亜実が手伝うと言ってくれて 二人でやっていると、店先から菜々が走ってきた。 「 ねぇ!二人とも、久々に可愛い子がいたわ 」 また 菜々は… 「 はいはい、菜々、清羅が計算間違えるから邪魔しなーい!」 誰がよ!! 間違えませんから。 「 ほんとだってば~ 琴音ちゃんなんて 見惚れたみたいでチラチラ見てばっかよ? ほら、あそこ 見てよ!店の前に立ってるから 」 も~ 菜々、うるさい。 「 … あっ。ねぇ清羅… あそこ見て!」 「 え~… 何 もう… あ、ウソ… 」 なんで!? 私の目線の先には、倖がいた。 菜々が言ってたの 倖くん… 倖は私が気付いた事で まっすぐレジに向かって来た。
/256ページ

最初のコメントを投稿しよう!

387人が本棚に入れています
本棚に追加