387人が本棚に入れています
本棚に追加
「 すみません、私特に理由はないです。ショップ店員っていいなぁ とか単純なことで 」
へぇ、そうなんだ。
「 いんじゃない? それもひとつの理由でしょ 」
菜々、さすが。
「 で、彼氏いるの?」
菜々… 台無し。
「 いませんよ、全然! 縁がないんです、私可愛くないので… 」
縁がない… それは私も同じだった。
でも…
あなた可愛いよ?
時間はあっという間に過ぎ、亜実も昼休憩が終われば セールも大詰めに入る。
5時を過ぎる頃に、私は ふと思い出した。
「 ありがとうございました! 」
あ、スカーフ!
せっかく買ったのに忘れてた…
「 清羅、たいぶ売れたね!昨日話したカーデも売れたでしょ 」
「 ほんと、良かったよ~ あと残ってるの 何?」
「 アンサンブルかぁ ほら、紫とか黄色… 」
セール品とはいえ ちょっと買うの迷うかな…
時間は7時半になろうとしていた。
そろそろレジを精算準備にかかるため、伝票などをレジ下にある引き出し板を出し、記入できるところを埋めておく。
「 お疲れ、清羅。手伝うよ 」
「 ほんと、じゃ小銭をこれに合わせて… 1本分にしてくれる?」
レジの作業を亜実が手伝うと言ってくれて 二人でやっていると、店先から菜々が走ってきた。
「 ねぇ!二人とも、久々に可愛い子がいたわ 」
また 菜々は…
「 はいはい、菜々、清羅が計算間違えるから邪魔しなーい!」
誰がよ!! 間違えませんから。
「 ほんとだってば~ 琴音ちゃんなんて 見惚れたみたいでチラチラ見てばっかよ? ほら、あそこ 見てよ!店の前に立ってるから 」
も~ 菜々、うるさい。
「 … あっ。ねぇ清羅… あそこ見て!」
「 え~… 何 もう… あ、ウソ… 」
なんで!?
私の目線の先には、倖がいた。
菜々が言ってたの 倖くん…
倖は私が気付いた事で まっすぐレジに向かって来た。
最初のコメントを投稿しよう!