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「 私は 餅チーズ明太子もんじゃと、アイスティを。亜実は? 悩むの禁止!」
「 えー もう! じゃ私も同じの 」
注文した後、亜実がまたボヤく。
「 はあ… ため息の数より男はいるのに、なぜ?なぜ私が一人? この私が一人? 理解できない、いいかげん男ほしーよー 」
も~ 私だって同じだよ…
「 出会いをちょうだーい!」
でも、どんな出会いにも何かしらのサインがあると思っていた。
結婚した友人たちは 会った瞬間ビビッときた、なんてよく聞いた。
私にはそれがない。
感じない。
むしろ、ビビッとって何?って思う。
雷みたいな?まさか、打たれたら死んじゃう。
あ、そっか。
そういうのが、ビビっとなんだね。
いつか私にも その瞬間が訪れるのかわからない。
独身の寂しさを感じはじめると、ため息の数も増えるものだ。
「 清羅、髪ずいぶん伸びたね、その方が似合うよ、多少女っぽい 」
「 多少!? そんな馬鹿なっ 」
失礼だよ、ちゃんと女だもんね。
私がトイレに行こうとし、パンプスを履いて亜実に振り返ると同時に、店員が注文したもんじゃを運んで来た時だった。
私は亜実に 二人分一緒に焼いてと言いながら 髪をサラッと払った。
「 あっ!! 」
「 え?」
「 コラー!もう清羅、もんじゃの生地に髪がついたじゃないの~ 何してんのバカ… 」
「 嘘~… ごめん、あの すみませ… 」
え…
「 いえ、大丈夫ですよ、取り替えますね。髪は大丈夫ですか? 」
ちょっと…
私の前に もんじゃを二人分 おぼんに乗せた店員。
私は その店員を見た瞬間、思考回路に電流が流れるのを感じた。
この人!!
しかも、恋という電流。
私は無意識に、店員の腕を握っていた。
「 清羅? 何してんの、取り替えてくれるって… 清羅?」
ヤバい… 私、私っ!
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