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目の前にはイケメン店員がいる。
“ 焼 ”とあるバンダナを頭に巻き、黒いエプロンが似合う店員。
「 ちょっと、清羅ってば!」
誰が、この時の私をわかってくれるのか…
きっと誰にもわからない。
それでいい。
この瞬間は私だけのものだから。
「 あの、店員さんちょっと来て!」
私は店員が持つ もんじゃを亜実に渡して店員を引っ張る。
「 え… えっ、お客さん?」
「 こら!清羅っ 」
亜実の止める言葉はすでに聞こえない。
なぜなら私はもう思い立ったから。
この人、私、この人なの!
店員を強引に外に連れ出した私はキッパリ言った。
「 あの、すみません お客さん、何か…」
「 聞いて! 突然ですがどうか、私に捕まってください!お願いだから観念して私と付き合ってください!」
「 は…?」
こんな告白、きっと前代未聞。
でも、私の心は彼を捕まえた。
だから無謀でも何でもいい、前進あるのみ!
「 お願い、私と一緒に恋してください!」
「 …ぷ、はは… あははははっ! おもしろいね、お客さん、そんな誘い文句も告られも初めてだよ 」
…おもいっきり笑われた。
そして まだ笑う彼。
会った瞬間告白し、当たり前にフラれるなんて…
よくある事?
それでも、私は彼に一目惚れした。
「 決めたの… あなたに決めたから、諦めて 一緒に恋してよ 」
「 うん、いいよ 」
へ…
あ、マジですか?
彼の笑顔が私に向けられる。
これが、私と彼との出会いであり、始まりだった。
運命はゆっくりではなく、すぐにやってきたのです。
誰しも予想しない出会う人がいて、静かに運命が動き出す。
だから 私の運命にはまだ、先がある…
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