瞬間

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「何言ってんの?」 「私はできない顔?」 「いや、そういうことじゃなくて…」 「大丈夫、黒木とするんじゃなくて私はあの子と同じ感触を味わいたいだけ」 夢を壊すようなことを言わせないでほしい。 「だからして?」 黒木もあの子としてるの想像しながらしていいよ。 そっちのほうがいいでしょ? 途端に腕を引っ張られる。 唇が触れた瞬間あの子を思い浮かべた。 放課後の誰もいない教室。 制服の男女。 それだけでゴシップにあがりそう。 この感触。 この匂い。 あの子が触れたものだと思うとすべて愛しい。
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