夏合宿の夜

1/6
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
 道斗の所属する少年野球団一行は、山梨県は某所に二泊三日で夏合宿に来ていた。東京のチームであるものの、毎夏にこの場所で合同練習会に参加することが恒例になっており、他県の強豪チームと交流する数少ない機会を得るのだ。初日は試合をせず、翌日に朝はやくからグラウンドで合同練習、そして試合を行った。  試合を終えた野球少年たちはへとへとに疲れ、水分をこれでもかと補給した。帽子に水をためてそのままかぶると気持ちいい、と誰かがはじめたのをきっかけに、皆がそれに倣った。 「日本じゃないみたいだな」源太郎が口に氷を何個か含みながら言った。 「太陽すごい強いね」  道斗はさっき頭から水をかぶったにもかかわらず、ユニフォームから着替えた服がすっかり乾いているのに気が付いた。 「あーアイス食べたいな。ずーっと当たりが出続けるやつがいいな」 「うん、スイカバーが食べたい。スイカじゃなくてスイカバー」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!