エピソード2.スターダスト

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京都、四条通り 八坂神社の石段下から路地を入り、京町家の格子戸をくぐる。 地下へと続く階段を下りると、毎週末、熱狂的なファンでひしめくライブハウス、ここは「ブルームーン」 「今日も大成功だったな…」 アキラが、スッキリとした表情で缶ジュースを傾けながら言った。 「ああ、今日もやり切った」 楽屋では、バンド「スターダスト」のメンバーがライブ後の乾杯をしていた。 「シュウ、ホントお前、良いタイミングで泣くよな……かなりのファンがシュウ様っ‼ってもらい泣きしてたぞ……」 リュウジが呆れを通り越して感心したように言った。 「別に、受け狙いじゃないし……」 シュウはしれっとした表情で、グラスに入った金色の液体を、美味しそうに口に流し込む。 「俺は歌が全てなんだ。俺は俺の全てを懸けて言葉を紡ぐ…ただそれだけだ。」 シュウは、唇に残った液体をペロリと舐めて言った。 「分かってるよ。お前のそういうトコ、俺は嫌いじゃないし。」 アキラはリュウジと顔を見合わせながら言った。 アキラは、明るい茶髪に、金色に近い大きな瞳、一見すると女の子のように可愛い。 しかし、顔に似合わず怪力で、感情の起伏が激しいせいか、その昔は、龍虎(りゅうこ)という京都を仕切る一大裏組織の集団に居たらしい。
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