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廊下側から最も遠い席
「今日は席替えだぞ。」
ブラックボックスのような箱の中から、一枚の紙を引き抜く。
2年1組、廊下側から最も遠いと噂される窓側の席に、綾はなってしまった……。
実はこの席、隣が不登校であり、男子の溜まり場になっていたのだ。
男子は、不登校の席の隣が女子だろうと、溜まり場にする。
そのせいで不登校の隣の席になった女子は、男子のくだらない話を嫌でも聞かされることになるのだ。
昼休みになれば、男子の溜まり場近くには誰も女子がいなくなり、不登校の隣の席になった女子は、他の女子から孤立することになってしまうと言うことになる。
綾は、決して友達が多いとは言えなかった。
綾は、決してこの席にはなりたくなかった。
なのに、なってしまった……。
何という屈辱………。
綾はなにも言わず机に突っ伏した。
あぁ、私の人生終わった……。
柏木綾、14歳。
早くも人生が終わったと感じた、暑い夏の日。
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