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虎太郎は、その答えに力を得て、さらに尋ねる。
「つまり──俺の……赤い“神獣”の“花嫁”として契りを交わすことも?」
その先を敢えて言わそうとする、虎太郎の意地の悪さに気づいたらしいイチは、やけっぱちのように言い放った。
「えぇ、えぇ、論理的には可能です! が、前例はないこともご承知ください!
この先このお……っ、御方を貴方の“花嫁”として迎えるにあたって、大事が起きることは否めませんよ!?」
「……承知した」
口角を上げ、うなずく。
すっかり小言を述べるのが仕事になっている従者が、うなるように言った。
「何ですか? その、不敵な笑みは。私の話をきちんと聞いてましたか!?
……まぁ、良いでしょう。【難関】は残っていますからね」
ふん、と。
いまいましげに鼻を鳴らしたあと、あごをしゃくってみせる。自分たちの話を聞いてなさそうで、しっかりと聞いているだろう者に。
「……何よ?」
「と、いうことだ、瞳子。お前、俺の“花嫁”になる気はあるか?」
「…………少し、考えさせて」
虎太郎は、眉を上げた。てっきり、すげなく断られるとばかり思っていたからだ。
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