《五》胡散臭いオトコたち

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(なんなの、胡散(うさん)臭い) おい、と。 もう一度、赤茶髪の男が呼びかける声を放ったのと同じくして、その側に、黒髪を束ねた男がいるのにも気づく。 こちらは先の男に比べると小柄で、水干(すいかん)と思わしき青い衣を身にまとっている。 (……胡散臭い男が増えた) 思いきり眉を寄せる瞳子にはお構いなしに、最初の男がつらつらと口上を述べると、消えていた入道が現れたのち──また、消えた。 刀を振るった赤茶髪の男が、瞳子に歩み寄ってくる。 近くで見上げた男の顔は、瞳子よりも幾分若く見えた。 「来ないで!」 もう、懲り懲りだった。 訳の分からない状況と、次々に現われる怪しげな存在──男たち。 力で押し切られれば、無力で敵わぬ、女のこの身。 「なんなのよ、あんた達!」 吐き捨てた言葉は、自分自身への憤りも多分に含んでいた。 (私は……こんなにも無力だったの……?) 「どうやら、自分を害するモノとそうでないモノの区別もつかないらしい。 助け損ですよ、セキ様」 「助けてなんて、頼んでないわよ!」
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