《五》胡散臭いオトコたち

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まさに、売り言葉に買い言葉だ。 状況を考えれば、あのおそろしい入道の化け物を追い払ってくれたのだと判る。 しかし瞳子には、素直になれない理由があった。 (男なんて……みんな、どうせ同じでしょ) 酒、金、女。その三つのどれか、下手をすれば全部を手に入れようとする生き物だろう。 少なくとも、瞳子の周りにいた男共は、皆、そうだった。 自己嫌悪の最中、小馬鹿にしたような黒髪の男の物言いに、感謝を告げる気すら起きなくなったのだ。 だが──道理に欠ける発言をしてしまったのも確か。 居心地の悪さから男達をにらむしかない瞳子に対し、赤茶髪の男が噴きだした。 「何よ?」 不愉快さを全面にだしたにも関わらず、なぜか男は瞳子に破顔してみせた。 「勝手なことをして悪かった。 俺の名は萩原(はぎはら)虎太郎(こたろう)尊征(たかゆき)。この辺りには探しものをしにやって来た。 お前は?」 (ナニその長い名前……) 覚えてやる気はさらさらないが、武将などは、幼名と元服後の名前とがあるような話を聞いたことがある。 おそらく、その類いのものだろう。 (しかも、さっきコッチの目つきの悪い男には「セキ様」とか言われてなかった?)
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