《五》胡散臭いオトコたち

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いったい、いくつの名前をもっているんだとあきれてしまう。 瞳子は、差し出された男の手を見ない振りをして立ち上がった。 よろめいたが、そこは気力でもちこたえる。 「私は……月島瞳子」 おかしな名乗りとはいえ、さすがにこれを無視できるほど、礼を失する真似はできなかった。 だから、男に(なら)い、口をひらいたのだが。 「ここへは……好きで、来たわけじゃない……!」 ここに至るまでの諸々の出来事が瞳子の頭をよぎり、感情を揺さぶった。 視界が、にじむ。 (そもそも何で私がこんな目に()わなきゃならないのよ……!) どうにも立ち行かない己の現状の歯がゆさに、唇をかみしめる。 そんな瞳子を知ってか知らずか、男達は彼らにしか解らないような会話を続けた。 「イチ、聞いたか」 「耳は良いので聞こえております。 ですが、お忘れですか? その女──失礼、その御方は白い“神獣”サマの【御手付き】にございましょう」 (はあ⁉) 「手なんてつけられてないわよ!」 瞳子の横やりに、二人の男が「は?」と、同時に声を上げた。 羞恥に頬が熱くなるのを感じながら、瞳子は一息に告げる。
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