《六》二つの条件提示

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「いいですか? 貴女も……その首の“証”がある限り、否応無しに白い“神獣”様の“花嫁”なのですよ? こんなところで油を売ってないで、貴女のお屋敷にお戻りください。 我が“主”が為した事、確かに出過ぎた真似。後ほど(しか)るべき報告と謝罪を白い“神獣”様にいたします」 早口でまくし立てると、深々と瞳子に頭を下げた。言われた本人は、不服そうにその姿を見ている。 (おーおー、都合の良い時だけオレを“主”扱いすんのかよ) 苦笑いをしながら、虎太郎は急に黙り込んでしまった瞳子に目をやった。 イチを冷めた眼差しで見下ろしたのち、ふいに何か思いだしたように、きょろきょろし始めた。 「……どうかしたのか?」 「あんたには関係な──……いけど、一緒に探してくれると助かるわ」 渋々といった面持ちで言い直す様が、なんだか可愛らしい。 虎太郎は、うなずいた。 「何を探せばいい?」 「ハツカネズミ」 「…………コレですか」 ひょい、と。 死んだフリでもしているかのような、茶褐色の小さなネズミをイチがつまみ上げて見せる。 「死んでる!?」 「いや、生きてますって。騒ぎに驚いただけでしょう」
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