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「多分とは何事ですか。ご自分の身に起きたことでしょうに」
「そんなのっ……仕方ないじゃない。
なんか変なクスリ盛られたみたいだし! 記憶が曖昧なんだもの!」
瞳子の言葉に、虎太郎は眉をひそめた。
「待て。“花嫁”を迎えるにあたって、そんな礼儀知らずを働いたというのか? ハク殿は」
「正確には“神官長”の差し金では? やりかねませんよ、あの恥知らずは」
いつもなら口の悪い従者をたしなめるところだが、今回ばかりは咎めだてする気も起きなかった。
(ならば、義はこちらにこそある。……という屁理屈も、まかり通るか)
「イチ。教えてくれ」
「…………嫌です、とは、言いづらい展開になってきましたね。はいはい、どうぞ?」
長い溜息をついたあと、自らの額を押さえながら小刻みにうなずく従者に虎太郎は笑った。
「瞳子の話からすれば、彼女は正式に“召喚”はされたものの【正式な】白い“神獣”の“花嫁”ではないらしい」
「……の、ようですね。おそらく、いえ、間違いなく“仮の花嫁”でしょう」
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