《六》二つの条件提示

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虎太郎は、その答えに力を得て、さらに尋ねる。 「つまり──俺の……赤い“神獣”の“花嫁”として契りを交わすことも?」 その先を敢えて言わそうとする、虎太郎の意地の悪さに気づいたらしいイチは、やけっぱちのように言い放った。 「えぇ、えぇ、論理的には可能です! が、前例はないこともご承知ください! この先このお……っ、御方を貴方の“花嫁”として迎えるにあたって、大事が起きることは否めませんよ!?」 「……承知した」 口角を上げ、うなずく。 すっかり小言を述べるのが仕事になっている従者が、うなるように言った。 「何ですか? その、不敵な笑みは。私の話をきちんと聞いてましたか!? ……まぁ、良いでしょう。【難関】は残っていますからね」 ふん、と。 いまいましげに鼻を鳴らしたあと、あごをしゃくってみせる。自分たちの話を聞いてなさそうで、しっかりと聞いているだろう者に。 「……何よ?」 「と、いうことだ、瞳子。お前、俺の“花嫁”になる気はあるか?」 「…………少し、考えさせて」 虎太郎は、眉を上げた。てっきり、すげなく断られるとばかり思っていたからだ。
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