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「ほい、おまち! 第一弾はアマンダ特製ダレつきアンガス牛リブアイだよ。次々焼くから熱いうちにさっさと食べてね」
「わー。いい匂い!」
曉慧が早速箸をつけようとしたその手を、お母さんがぴしゃりと叩く。
「曉慧! お客様が先でしょう?」
「あ、そうだった。失礼しました。 修哥、熱いうちにどうぞ。食べて食べて」
香ばしい肉と甘辛いタレの香り漂う山盛り肉の紙皿を、曉慧が篠塚さんの前に差し出した。
「曉慧、ありがとう」
「へへ。どういたしまして」
ちょっとバツが悪そうに曉慧が肩を竦めて笑う。
アマンダに「おいしいお肉をたくさん食べさせてあげるわよ」と、篠塚さんが呼び出されたその先は、まさかの曉慧の家。
篠塚さんは曉慧に優しい眼差しを向けながらも、彼女一家との初対面に少々緊張している模様。
「小鈴も。まったく箸が進んでないんじゃない?」
曉慧のお母さんに指摘され、そんなことはないと言おうとしたが、目の前には明らかに未使用の取り皿が。
「ほら、食べて食べて!」
「ありがとう、小母さん」
取り分けられた焼き肉を早速ひとくち。甘辛さのなかにピリッと効いたスパイシーな香りが、香ばしく焼けた肉の甘みと相俟って味わい深い。
このタレ、なかなかイイシゴトしているじゃないの。
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