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「小鈴? 食べてる?」
「あ、うん……」
「どうしたの? 具合でも悪いの?」
「いえ、そういうわけじゃなくて」
「そういえば少し痩せたんじゃない? 大丈夫? ちゃんとご飯食べてる?」
曉慧のお母さんが心配そうにわたしの頬に掌を当て、眉間に皺を寄せた。
「勉強だけでも忙しいのにウチのためにいろいろしてくれて……店の手伝いまでさせちゃってるし。疲れが溜まってきてるのかも? 小鈴、ごめんね」
芙蓉姐がもうしわけなさそうに眉を下げた。
「芙蓉姐、それはないよ。大丈夫。いまのは、ちょっとぼーっとしてただけだから」
「あ、そっか。わかった。あんた——」
突然ぽんっと手を打った曉慧が、「奇哥! 小鈴の腸詰めまだぁ?」と、大声で叫んだ。
なんだ、お腹が空いていただけだったのね、と、みんなが一様に納得する。
恥ずかしい。どうしてみんなそれで納得しちゃうのよ。
心のなかでちょっと拗ねつつ、パイナップルビールをまたひとくち啜った。
「ねえ、小鈴はあと三ヶ月でしょう? 学校終わったらどうするの?」
「どうするって……いまのところは帰るとしか」
「そっかぁ、やっぱり帰るんだよね……」
曉慧が残念そうな顔でぼそっと言った。
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