天空碧 — 中秋節

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 昨日と耳にして、二切れ目に伸ばしかけた箸が宙に浮いた。 「え……っと、昨日は……」 「あはは。昨日ねぇ。どこまで覚えてる?」  芙蓉姐の目が、戸惑うわたしを面白そうに笑っている。 「うう……。ビール飲んでそれから、焼き肉が出てきて、それで……」  どう頑張っても、やはり思い出せるのはそこまでだ。 「その先は覚えてなくて当然よ? 小鈴ったら、静かになったと思ったら、座ったままビールの缶握りしめて寝てたんだもの」 「わ、わたし、寝ちゃった、の?」 「そうよー。おかしいわよね? まだ缶半分も飲んでなかったんだから、酔うはずもないのに。もしかして、どこか具合でも悪いんじゃないの? 風邪でも引いた?」 「うーん。どこも悪くない……と、思うけど?」 「本当に? どこも変わったところはない?」 「うん。べつに。いつもどおりだよ?」  熱があるわけでも喉が痛いわけでも頭痛がするわけでもないから風邪ではないだろうし。体を冷やしたり、食べすぎたりも——思い当たる原因はなにもない。  それなのに、一般的なビールよりもアルコール度数の低いパイナップルビールを、たった缶半分飲んだだけで寝てしまうなんて。普段のわたしではありえない。
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