天空碧 — 冥婚

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「あ!」 「小鈴(シャオリン)!」  わたしの両側を歩く曉慧(シャオホゥエイ)とアマンダが、躓き転びそうになったわたしの両腕を引き上げ、がっちりと支え直した。 「小鈴、大丈夫?」 「うん、ごめん。大丈夫」  足元を確認し、緊張に震える足を踏みしめた。  頭を上げればそこに見えるのは、淡いピンク色のアレンジメントフラワーで飾りつけられた美しい祭壇。その向こう、正面の壁には、同系色の薔薇で縁取られたカイくんとわたしのウエディングフォトが見える。  祭壇の前には、白い棺。その中で、純白のタキシードを身に纏った新郎のカイくんが、わたしを待っている。  ウエディングドレス姿のわたしは、すすり泣く人々に見守られながら、祭壇までの道程をゆっくりと進んだ。  棺の真横で足を止め、眠るカイくんを覗き込む。その寝顔は、いま行われているこの儀式の意味を理解しているかのように、微笑んでいる。  そっと手を伸ばし、その頬に触れてみた。  わたしの首元で揺れるペンダントトップが、体の動きに合わせてチリチリと音を立てている。
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