天空碧 — 冥婚

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 カイくんの遺品を整理していた林媽媽が、彼が最後に着ていたジャケットの内ポケットからこれを見つけたのは、事故から二週間ほどのちのことだった。  華奢な長方形のケースを開けると、澄み切った青空色のペンダントが。添えられたカードに書かれた文字を読んだ林媽媽は、カイくんがかわいそうで涙が止まらなかった、と、泣いた。  カイくんが、わたしを好きだったなんて。  林媽媽からカイくんの気持ちを告げられるまで、カイくんは曉慧と付き合っているのだと思っていた。まさか、とっくの昔に振られていただなんて。信じられない。あんなに仲よしだったのに。 「カイくん、ごめんね」  ——あきらめが早くて。  わたしがもっと早くカイくんの気持ちを知っていたら、現在も未来も変わっていたのだろうか。  大雨のときは、バイクに乗らないでって、あれほど言ったのに。  誕生日のプレゼントなんて、要らなかったのに。  あの日、約束なんてしていなければ。  迎えを断っていれば。  後悔しても、カイくんの笑顔は二度と見られない。
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