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久しぶりに夢翔のサッカーをプレイする姿見た気がする。
昔はよく見ていたものだ。サッカーをプレイする姿を間近で·····。というか、あの時は心も通じあっていたような気がしていた。サッカーをすることが楽しかった。毎日のエネルギー源でもあった。だが、そんな夢のような現実もあの日を境になくなってしまった·····。
「なんでサッカーを見て泣きそうになってんだよ!まさか、俺に見とれちゃった?」
「そんなわけないだろ?こ、これは日差しが眩しくて涙が出ているだけだよ!」
夢翔は休憩をするために日陰が作られた学校の壁際に寄りかかって、水筒を飲み始める、
蒼生はとっさに涙を腕で拭い、夢翔と同じように壁際へと寄りかかった。
「こうやって2人で話すのも久しぶりだな。なんか昔を思い出すぜ。」
蒼生は「そうだな」と軽く頷く。
僕らが初めて会った時は僕らがうんと小さい頃で、双方の家が近いこともあって同じ公園で遊んでいたそうだ。そしていつの間にか友達になり、よく2人で夜遅くまで公園で遊んでいたというのを親から聞いた。
その後は公園のみならず互いの家でも遊ぶようになり、そこから小中と同じ学校に通い、同じサッカー部に所属し、同じように生活をしてきた。その頃はよく2人で日陰に座ってたわいも無い話をしていたものだ。
だが、あの夏の日。今から約1年前ほどのあの日に僕は事故にあった。原因は僕の飛び出し事故ということだった。
そして、一緒にいた夢翔は僕のことをかばおうとして腕を骨折。僕は足を壊し、足の怪我でサッカーを辞めざるをおえなくなってしまい、チームには多くの迷惑をかけてしまった。
その後遺症は現在も残っており、夢翔は以前よりも手を動かせなくなってしまった。
だから、きっと僕を恨んでいるに違いない。いきなり飛び出してしまった僕を、腕を無くさせた僕を。
·····やっぱり言うのをやめよう。こんな馬鹿げた話を恨まれた人にされるなんて、仏のように優しい夢翔でもさすがに怒る。
蒼生はそう思い立つと、「やっぱりいいや」と言って地面に置いていたリュックを背負って立ち上がった。だが――
「なんで帰ろうとしてるんだ?話はするんじゃなかったのか?」
夢翔は不思議そうに蒼生を見つめる。しかし、もうこれ以上私情に夢翔を巻き込む訳にはいかない。
「やっぱり大丈夫。俺一人で何とかするさ。人に頼むなんて間違ってるよね。」
蒼生は笑いながらそう言う。
きっとこんな笑いもただの誤魔化し笑いなのだということは人一倍優しい夢翔には分かっているのだろう。しかし、ここでその優しさに甘えてしまえば、また夢翔を不幸にさせてしまう。
蒼生は夢翔がに背を向けて、校門へと歩みを進める。が、夢翔はとっさに蒼生の腕をつかみ歩みを止めさせる。
掴む腕には力が入っていない。そして、少しではあるがふるえている。この手は全て自分が作り上げてしまったものだ。あぁ、自分が情けない。だから。これ以上迷惑をかける訳にはいかない。いかなっ·····。
「この腕がどうしたって言うんだ?蒼生はとても気遣い上手な男だからな、多分こんなことだろうなとは思ってたよ。」
その声と共に夢翔の腕から力が抜け、蒼生腕からゆっくりと離す。
「俺はお前の力になりたいんだ。それに、これからも力を貸して欲しい。ほら、俺の腕は使い物にならねーから、お前の腕を貸してくれよ。俺も足を貸すからよ。」
――何故。
何故、人はここまで優しくなれるのだろうか。
ある人は言った。やさしさをどのように示すべきか、受け取るべきか。これを知っている人こそが、かけがえのない友人であると。
全くその通りだ。
「ありがとう。夢翔は本当に良い奴だな。僕はいい友達を持った。」
「お、なに?泣いてるの?そこまで感動しなくてもいいだろー。」
「そうだな。つい昨日のドラマを思い出しちゃって感動しちゃったわ。」
蒼生は夢翔に背を向けたまま、腕で溢れそうな涙を拭う。
「もうそろそろ時間だから行かないと。じゃあ今日家に来れるか?7時くらいなら確実に居るから。あと、ついでに晩飯も食いにこいよ。」
蒼生は夢翔の方へと振り返り、「分かった」と返事をする。
きっと夢翔の事なので、このままだと話を切り出せないのではないかという優しさからのお家ご招待配慮だろう。
――本当に仏様だな。
校庭へと再び走り去る姿を見つめた後、細川蒼生は校庭へ背を向け、再び校門へと歩みを進めた。
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