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夢の国で歌えば
夏祭りから数日が過ぎた。
(黒川君、どうしているんだろ……)
リビングでテレビを見ていても、気が付けば黒川君のことを考えている自分がいる。
テレビからは、学園青春物の2時間ドラマが流れていた。ソファに座っている私の後ろでは、ダイニングテーブルに座って漫画を読んでいる弟の卓也がいる。母親はキッチンで洗い物の最中だ。
見るともなしにドラマを見ていると、教室の中で生徒が集まっている場面で、
「えっ!?黒川君!?」
突然黒川君の姿を見つけて、私は思わずテレビにかじりついた。一瞬で場面は切り替わってしまったが、あれは確かに黒川君だ。
「ま、また映るかな」
ドキドキしながら、ドラマが終わるまで真剣にテレビを見ていたが、黒川君が映ったのはその一瞬だけで、後は一度も画面の中に姿を現さなかった。
(ちょい役だったんだ……)
残念に思いながら、スイッチを消す。
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