オレ様王子の誘惑

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 我がクラスの100メートル走選抜メンバーが優秀だったため2組の得点を抜き、更にその後の騎馬戦、リレーで1着を取った2年1組は、結果鮮やかに優勝を勝ち取った。  クラスメイトと喜びを分かち合うのも早々に切り上げ、実行委員の仕事に戻った私は、三角コーンを手に、体育倉庫に向かっていた。グラウンドでは先生方や他の実行委員の子達が、テントをしまったり、他の道具を片付けたりしている。早く戻って、手伝わなければいけない。 「三角コーン、結構重い……」  欲張って数本重ねて持ってきてしまったので、歩きづらくて仕方がない。私が四苦八苦しながら運んでいると、横からそれをひょいと取り上げた人がいた。驚いて振り向くと、黒川君だ。 「オレに貸せよ。持ってやる」  相変わらずオレ様な感じで上から目線でそう言われたが、彼の気遣いが嬉しくて、 「ありがとう。でも少しは私も持つよ」 私は笑顔を浮かべた。  三角コーンを分けて持ち、ふたり連れ立って体育倉庫に向かいながら、 「黒川君、今日は大活躍だったね」 と話しかけると、 「当然だろ」 との返事が返ってくる。 「オレに叶う奴などいるわけがない」 (うわー、高飛車だ……)  もともと形のいい高い鼻だが、今はその倍高く見える。
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