肩こりは冷やすのか温めるのか?

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 D県支店に転勤した。帰宅すれば毎日、紗良(さら)と話す。学校に慣れたか、お友達ができたかなど、質問攻めだ。 「お父さん、どうして、いつも同じこと聞くの?」  紗良(さら)が面白くなさそうなので、顔色を(うかが)うだけにとどめよう。 「お父さん、会社に慣れた?」  (あおい)から、僕が心配された。 「知ってる人が誰もいなくて、気が張ってってね、毎日緊張してるよ。肩こりが酷いんだ」  (あおい)もこちらで、コンビニの社員に再就職できて良かった。同じ系列のコンビニチェーンで、前のオーナーさんが紹介してくれたそうだ。 「近所のお医者さんで肩こり診てもらったら?」  グチッぽいことを、(あおい)は口にしない。感謝している。 ***  自宅から一番近い医療機関は、氏家(うじいえ)クリニックだ。徒歩で15分の距離にある。仕事が早めに終った日の夕方、帰宅ついでに寄った。  氏家(うじいえ)先生は、内科・リハビリ科と看板にあった。肩こりの診察を受ける。 「肩こりは冷やすのが良いですよ。氷で冷やすことをアイシングと言います。氷を水洗いして、ビニール袋に詰めてから、肩を冷やしてください。ただ、風邪気味のときは、アイシングはしないでください」 「そうですか」 「よろしければ、リハビリ受けてってください」  リハビリ室に看護師さんに案内され、周囲をカーテンで仕切られたベッドでうつ伏せになる。リハビリの先生が肩に電気を流す。もっと電気を強くして欲しいので、電気を感じないとうそぶく。しかし、リハビリの先生がこれより強いのは、危ないと止められた。 「15分だけじっとしていてください。氷をのせるので少し冷たいです。もし、一分以上しても冷たかったら、氷を取りますので、言ってくださいね」  氷で膨らんだビニール袋を両肩にのせられた。思わず、冷たい、と声が出る。一分すれば、冷たさの感覚も一定以下になった。ひんやりして心地良い。  あごの下にまくらがあり、備え付けのテレビをのんびり見ていた。  氏家(うじいえ)クリニックは院内処方だ。受付で会計を済ませてから、冷シップを受け取る。白いビニール袋いっぱいに、冷シップを処方してくれた。  肩こりが激しい日は、冷シップを貼りながら、仕事をこなす。夜寝る前には、氷をビニール袋に入れて、両肩を十分は冷やす。こりの熱を取り、ほぐれるのが分かる。 ***
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