吉宗公の象

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吉宗公の象

吉宗公の象  むかーし、昔、享保13年(1728年)のことであります。 8代将軍徳川吉宗公はいろんな動物に興味がありました。 4代家綱公の蔵書、オランダ・動物図鑑は埃をかぶっていましたが、そこから象に興味を持ち、  「いざ、江戸に象を持ってくるように」とお触れが出たのであります。  かくして同年6月、広南(いまのベトナム)から象2頭が当時唯一の貿易港・長崎にやってきました。 7歳の牡象と5歳の牝象であります。2頭には2人の通訳、2人の象使いがついていました。  「あらまあ!なんて大きいんでしょう!」  「その姿、形、異形で奇異なり!」みんな大騒ぎです。  しかし6月に到着した象ですが、日本の気候に慣れるためしばらく長崎にて飼われることになったのですが、9月に牝の象が舌を病んで死んでしまいました。  可哀そうに。 翌年享保14年3月、1匹の牡象だけがいざ江戸へと出発となりました。
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